2020年2月26日水曜日

新型コロナウイルスと母乳育児など

新型コロナウイルスについて日々、新しい情報が更新されていきますので、現状の情報となります。


昨週だけで2名の方から、行っている保育園で、ヒトメタニューモによる肺炎で入院したお子さんがいる、というお話をうかがいました。
また別のお母様からは、アデノウイルスにかかって1週間高熱が出続けたお子さんのお話をうかがいました。
小さなお子さんにとってはRSウイルスなど、同様に注意が必要な感染症があるようにも思います。

ちなみに毎年、冬にかかる普通のカゼの10~35%がコロナウイルスが原因です。
コロナウイルスには多種多様の変異株があります。

カゼやインフルエンザの根本治療薬を作ることができたら、ノーベル賞をもらえる、と言われていますが不可能のように思います(タミフル等は根本治療薬ではありません)。
現時点で、カゼやインフルエンザに有効とエビデンスがあるのはハーブのエキナセアのみです(コクランライブラリーより)。
私の呼吸器疾患予防法、もしご興味ありましたら手技中お尋ねくださいね。

 産後、カゼをひきにくくなった、と言うお母様が多いのですが、 授乳期間中は一定の間隔を空けすぎずに授乳していれば、ホルモンの作用でお母さんの免疫力は妊娠前より上がっています。
母乳育児が、お母さんの感染予防対策になっています。


●お母様が新型コロナウイルスに感染した場合、授乳はどうすればいいのでしょうか。

WHO(世界保健機関)は当座のガイドラインとして、「母乳育児の恩恵を考えて、感染予防(マスクや消毒等)しつつ、授乳してよい」としています。
An exception may be made for breastfeeding mothers. Considering the benefits of breastfeeding and the insignificant role of breast milk in the transmission of other respiratory viruses, a mother could can continue breastfeeding. The mother should wear a medical mask when she is near her baby and perform hand hygiene before and after having close contact with the baby. She will also need to follow the other hygiene measures described in this document.

しかし日本産婦人科学会のサイトでは
「 授乳は控えるように指導する。 授乳開始は解熱後 4 ⽇⽬を⽬安とする。(ただし、今後の解明によって上記の⽇にちは変更されうる)」 とギャップがあるのです。
http://www.jsog.or.jp/


なお、米国産婦人科学会と英国産婦人科学会は、感染後の授乳継続を推奨しています。
母乳からの呼吸器系感染症の感染例はありません。

https://www.acog.org/clinical/clinical-guidance/practice-advisory/articles/2020/03/novel-coronavirus-2019

https://www.rcog.org.uk/en/guidelines-research-services/guidelines/coronavirus-pregnancy/covid-19-virus-infection-and-pregnancy/


例年、当院でお母様方からうかがうお話が
「上のお子さんも含めて家族全員、お母さんもインフルにかかった。しかし、母乳を飲んでいるお子さんだけがかからなかった・もしくは軽かった」というお話です。

もし、授乳中のお母様が感染症にかかられた場合、母乳からその抗体(特異的免疫)を赤ちゃんに与えることができますので、場合によっては母乳のワクチン様効果で不顕性感染(症状が出ない感染)も考えられます。

一方、お子さんが先にかかった場合、お子さんの唾液を乳腺が吸い込み解析し、やはり抗体(治療薬)を作ってくれるのです。

先日、当院に来られたお母様(看護師)のお話
上のお子さんがRSウイルスにかかって、一週間高熱とひどい咳が続いた。
下の授乳中のお子さん(生後10か月)にうつってしまって、小さいお子さんほど症状が悪化しやすいため、入院になるかもしれないと思ったが、逆に3日ほどで治ってしまった。
まさか、ここまで良い母乳の治療効果が高いとは思わなかった。

当院に通われている、昨年4月に保育園に入園した男児7名が、4月から7月までの4か月間、保育園をお休みすることが無かったのは、母乳パワーだと信じています。
母乳には、抗ウイルス成分や免疫機能を高める多種多様な成分が豊富に含まれています。

(もちろん、子どもはさまざまな感染症にかかることで、免疫力が強化されていくので、感染症にかかることは悪いことばかりではないと思います)

でも母乳の味が低下すると、病気を機に卒乳してしまうお子さんも少なくありません。
私見ですが、あるていど良い母乳を保って、さまざまな感染症から赤ちゃんを守ってあげること、が一番だと思っています🍀 





当院では、食品にもつかえる抗ウイルススプレーでおもちゃなどのふきとりをしています。
また、浮遊ウイルスの除去効果世界一の「ブルーエア空気清浄機」を使用しています。


お母さんと赤ちゃんが、楽しく明るい母乳育児がつづけられますように.



追記

5月14日 
諸外国の小児に、川崎病に似た症状が報告されています。
https://www.bbc.com/japanese/52657995

日本川崎病学会は、日本における症例数は変わらないか、むしろ減った、と報告しています。
http://www.jskd.jp/pdf/20200506COVID-19_and_KD.pdf

我が子が2歳の時、川崎病疑いで入院したことがあります。
そのときから、なぜ原因不明の川崎病が増え続けているのか、書籍や論文から原因探しを続けてきました。
そしてこの仕事に就いてから、お子様が川崎病や疑い、頸部リンパ節腫脹など類似症状等のケースにおいて、共通項がみえてまいりました。
ネットを見ていたら偶然、同じお考えをお持ちの小児科医が九州にいらっしゃいました。

アレルギーもそうですよね。
昔は非常にめずらしかったのです。

今回の新型コロナウイルス罹患に関わるケースにおいても、川崎病様症状が頻発している国と、そうでは無い国々。
そこには、人種や遺伝子の違いはありますが、同じヨーロッパ圏内なのに、なぜ、頻発している国と、そうではない国があるのでしょうか。
そこに、川崎病や類似する症状の根本原因を解明する、何らかの複合的な因子が存在するのです。

大人においても、同じヨーロッパ圏内で、重症化・後遺症・死亡率の高い国と低い国、あたかもリウマチ熱のような全身の血管を冒すような症状が多い国と、そうではない国の違いを考えてみると、これらの症状を引き起こすそもそもの正体は何なのか、がわかってくると思います。
そしてその正体を避ければ、特に若年者の重症化は予防できうるかもしれない、ということかと思います。


5月23日
日本小児科学会は、「休校は効果より悪影響」との警告を発表しました。
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20200523-OYT1T50240/

その根拠となっているのが、下記のシステマティックレビュー(複数論文の分析論文)のようです。
小児が家庭内感染の最初の感染者であることはまれで、アウトブレイクを引き起こすことはめったに無いことが想定され、
学校が再開しても、高齢者の死亡率への影響はありそうも無い、とされています。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/apa.15371

Coronavirus: Most children 'experience only mild disease'